日本消化器内視鏡学会雑誌
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症例
Narrow band imaging拡大観察および超拡大観察が診断に有用であった肛門管扁平上皮癌の1例
立花 靖大 青木 敬則五十嵐 聖名子原田 拓潟沼 朗生篠原 敏也後藤田 裕子太田 聡永塚 真菅井 有
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2022 年 64 巻 6 号 p. 1241-1248

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抄録

症例は64歳女性.既知の大腸ポリープ経過観察目的に施行した大腸内視鏡検査で肛門管に12mm大,7mm大と4mm大の扁平隆起性病変を認めた.Narrow band imaging(NBI)拡大観察では3病変ともに日本食道学会拡大内視鏡分類B1相当の血管であった.メチレンブルー染色による超拡大内視鏡観察では12mm大,7mm大の病変で核異型を伴う著明な核密度の上昇を認め,熊谷らの食道ECS Type分類Type3相当と診断した.生検結果はhigh grade intraepithelial lesionであったが,内視鏡上は粘膜内に留まる扁平上皮癌を疑いESDを施行した.病理結果は,粘膜内に留まる扁平上皮癌を3病変認めた.12mm大の病変の粘膜下層に導管内進展を疑う所見を複数認め垂直断端が評価困難であり,また4mm大の病変の水平断端も評価困難であった.NBI拡大観察および超拡大観察が早期癌診断に有用であったが,正確な水平進展範囲診断は困難であった粘膜内肛門管扁平上皮癌の1例を経験したので報告する.

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© 2022 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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