日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
症例
骨髄移植から18年後に発症した食道癌を早期発見し,内視鏡的に治療し得た1例
佐々木 悠貴上野 真行 下立 雄一松枝 和宏山本 博水野 元夫
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2022 年 64 巻 7 号 p. 1332-1338

詳細
抄録

症例は42歳女性.1999年に急性白血病と診断し,寛解導入療法後に骨髄移植を施行した.移植後に移植片対宿主病を発症したが,白血病の再燃なく経過した.2018年に上部消化管内視鏡検査を実施したところ,胸部上部食道に食道癌を認めた.粘膜内癌と診断し,内視鏡的粘膜下層剝離術により治癒切除を得た.本症例は飲酒歴や喫煙歴のない中年女性で,白血病に対する骨髄移植が食道癌発症の主原因と考えられた.骨髄移植前の全身放射線照射や移植後の慢性移植片対宿主病は二次性発癌のリスク因子であり,中でも食道癌のリスクが高いことが知られている.骨髄移植後は,飲酒歴や喫煙歴がなくても定期的な内視鏡検査の必要性を認識すべきである.

著者関連情報
© 2022 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top