日本歯科医学教育学会雑誌
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Print ISSN : 0914-5133
調査報告
全国歯科大学・歯学部における 「2013年度版 よき歯科医師になるための20の質問 倫理的検討事例集」 の利用状況
山本 龍生木尾 哲朗尾崎 哲則樫 則章角 忠輝平田 創一郎和田 尚久平田 幸夫
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2016 年 32 巻 2 号 p. 93-99

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抄録

抄録 歯学教育において医の倫理やプロフェッショナリズムの重要性が高まっている. 日本歯科医学教育学会倫理・プロフェッショナリズム教育委員会では, 倫理・プロフェッショナリズム教育の推進に資するために 「2013年度版 よき歯科医師になるための20の質問 倫理的検討事例集」 (以下, 本事例集) を作成し, 全国の大学歯学部長・歯科大学長に送付して教育担当者による活用を依頼した. そこで, 本事例集の使用実態を把握するとともに, 事例集改定のための意見収集を目的として調査を行った. 全国の大学歯学部長・歯科大学長宛に郵送による質問紙調査を行い, 倫理・プロフェッショナリズム教育担当者からの回答を依頼した. 回収率は100%であった. 本事例集は29校中10校 (34.5%) が使用しており, 使用学年は1~5年にほぼ均等に分布し, 科目名は 「倫理」 や 「プロフェッショナリズム」 が含まれるものが多かった. 方略は8校が演習, PBLまたはTBLを取り入れ, 2校が講義のみであった. 使用事例は, 低学年では大学生活に関するもの, 高学年では臨床に関するものが多く, 大学の事情に応じて改変して使用しているところもあった. 今後希望する事例として, 臨床経験のない初年次教育に利用できるような事例, 臨床においては高齢者への配慮, 認知症, 終末期医療などに関するものがあった. 今後は, 本事例集の周知に加えて, 更なる事例の追加, 評価方法の確立が期待される.

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