2024 年 66 巻 1 号 p. 56-68
胃腫瘍に対するESDは治療数の増加に伴い,その合併症のマネジメントが重要視されている.特にESD後の遅発性出血は頻度が高い合併症であり,時に重篤な転機を辿るため,その対策を練ることは重要な課題である.われわれは早期胃癌に対するESD後潰瘍出血の発症予測モデルであるBEST-Jスコアを多施設共同研究にて開発した.10種類の要因(血液透析,アスピリン,チエノピリジン系抗血小板薬,シロスタゾール,ワルファリン,直接経口抗凝固薬(DOAC),抗血栓薬の中止,複数の腫瘍の存在,腫瘍径30mm以上,胃下部)がESD後出血を引き起こす候補リスク因子として抽出され,出血リスクに応じて点数を設定し,リスクの層別化を可能とした.ただし,出血リスクが高い症例に対する個別化治療・対策については今後の解決すべき課題と考えられる.ESD後出血を予防する内視鏡治療の工夫や最たるリスク因子である抗凝固薬内服者の対応策についても,早急に検討を行う必要がある.