日本消化器内視鏡学会雑誌
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総説
悪性胆道・十二指腸閉塞に対する内視鏡治療戦略の現状と課題
佐々木 隆
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2024 年 66 巻 12 号 p. 2639-2647

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抄録

悪性胆道・十二指腸閉塞は病状が進行した状況で発症する複雑な病態であり,各病態に応じた治療戦略が必要となってくる.この病態で最も重要な点は,十二指腸胆道逆流をいかにコントロールするかである.胆道の側面からは,胆道ドレナージルートの変更や逆流防止弁付き胆管ステントの使用が挙げられる.胆道ドレナージルートの変更において,超音波内視鏡下胆道ドレナージの果たす役割は大きい.一方で十二指腸の側面からは,十二指腸がうっ滞しにくい十二指腸ステントの工夫もしくは食事が胆管ステント開口部を通らないようにするバイパス術が挙げられる.そのためにも,さらなる十二指腸ステントの改良とともに,超音波内視鏡下胃空腸バイパス術の導入に期待が寄せられる.超音波内視鏡を用いた技術の普及により,この病態のマネージメントは以前より改善しつつあるが,デバイスの改良などによってまだまだ発展の余地が大きく残っている領域である.

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© 2024 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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