2024 年 66 巻 12 号 p. 2648-2654
症例は91歳女性,繰り返す嘔吐を主訴に受診した.CTで,胃と横行結腸が食道裂孔から縦隔へ脱出し,牽引された十二指腸が屈曲し通過障害を生じたものと診断した.内視鏡検査の際に屈曲が解除され,食事可能となり退院したが,2カ月後に症状が再燃した.この時には横行結腸の脱出は無く,胃と十二指腸球部の脱出を認めた.ヘルニア内容が変化しているため強い癒着は無いと考え,内視鏡的整復を施行した.整復には胃壁を内視鏡で伸展させ,ループを形成しながら屈曲を超える必要があり,受動灣曲機能付きの有効長の長い下部消化管用スコープを用いた.内視鏡を十二指腸下行部まで挿入後,右トルクをかけながら引き抜くことで容易に整復が可能であった.その後12カ月再燃せず経過している.