大腸憩室出血に対する内視鏡治療はクリップ法がその簡便さから広く用いられ,出血点を直接把持する直達法と憩室を閉鎖する縫縮法に分類される.本邦の急性血便症例データベース(CODE BLUE-J Study)を用いた検討では,直達法は縫縮法と比較して,術後1カ月以内と1年以内の再出血,入院中輸血の抑制効果を示したが,左側結腸での出血や活動性出血では再出血率に有意差を認めなかった.これらの結果からクリップ直達法は出血点に対する内視鏡の視野と操作性が安定した状況で効果を発揮することが示唆された.出血点に対する内視鏡の視野と操作性を安定させる工夫として,水浸下観察や先端フードの装着などがあり,これらを利用することでより多くの症例に直達法が施行できるものと考えられた.