2025 年 67 巻 4 号 p. 295-299
症例は23歳女性.解離性障害などの基礎疾患があり精神科病棟に入院していた.入院中に筒形の単3乾電池を誤飲したため,緊急でEGDを施行した.しかし,胃内には多量の食物残渣が認められたため,乾電池を直接視認することが不可能であった.そこで,鉗子口から挿入した回収ネットに小型磁石を把持した状態で内視鏡を再度挿入した.胃内で愛護的に内視鏡を操作することで,磁石に乾電池が接着し,摘出が可能であった.磁石を用いた乾電池の摘出法は,食物残渣に埋没した胃内金属異物に対する内視鏡的摘出術として有用であると考えられた.