2025 年 67 巻 5 号 p. 1099-1108
大型隆起性病変に対する大腸ESDは高度な技術が求められる.大型隆起性病変はその形状や腫瘍サイズの増大に伴い線維化や筋層牽引を伴う可能性が高まりその複雑さが増す.こうした課題に対応するため,当院では基本的なトンネル法に加え,より難易度の高い症例に対してダブルトンネル法を採用している.この方法は,トンネル内で線維化や筋層牽引領域を認めた場合にその両サイドに2本のトンネルを形成し剝離することで,一括切除と安全性の向上を図るものである.大型隆起性病変の中でも特に4cmを超える病変では,高度線維化や筋層牽引のリスクと同時に腫瘍浸潤も高度になる可能性が高まるため,術前の診断と同時に病変部位や患者背景など総合的に判断した上での治療方針の選択が重要であり外科手術の必要性についても考慮が必要である.