2025 年 67 巻 6 号 p. 1175-1179
症例は74歳,男性.検診精査のEGDで胃前庭部に陥凹性病変を認め,当科を紹介された.EGD所見では胃前庭部小彎に12mm大の陥凹性病変を認めた.Narrow band imaging(NBI)拡大観察で,陥凹部の腺管構造は不明瞭となっており,口径不同や途絶を呈する不整血管を認めた.生検で神経内分泌癌(neuroendocrine carcinoma:NEC)疑いの診断となった.十分なインフォームド・コンセント(informed consent:IC)のうえESDを施行した.ESD切除標本の病理組織学的所見では,粘膜内に腫瘍細胞を認め,免疫組織化学染色でNECと診断した.なお,腺癌成分は含まなかった.早期胃NECに対し内視鏡治療を施行した報告は少ない.中でも粘膜内にとどまる症例,腺癌成分を含まない症例の報告は少なく,貴重な症例と考えられた.