2025 年 67 巻 6 号 p. 1168-1174
症例は62歳の女性.人間ドックのEGDで前庭部小彎前壁に2cm程度の中心に小潰瘍を有する粘膜下腫瘍様の隆起性病変が観察された.生検で印環細胞癌と低分化腺癌を認めた.H. pylori血清抗体および尿素呼気試験は陰性であった.開腹による幽門側胃切除術を施行し,病変は粘膜下腫瘍様で2.0×1.2cm大であった.病理組織学的には,腫瘍は固有筋層まで浸潤し,増殖能の高い低分化型腺癌が主として粘膜下層で線維性間質組織の増生を伴いながら増殖し,粘膜内の印環細胞癌と非腫瘍性粘膜を押し上げていた.固有筋層まで浸潤したH. pylori未感染進行胃癌の報告例は本例を含めて4例とまれであり,今後の症例の集積が必要である.