2025 年 67 巻 8 号 p. 1348-1354
症例は65歳,男性.中部食道に憩室を認め,この辺縁から底部近くにわたり早期食道癌を認めた.EUSで憩室部分の筋層に明らかな欠損のないことが確認されたが,穿孔リスクを考慮し,耐術能評価と外科的修復準備のうえで全身麻酔下にESDを施行した.術中所見としても筋層欠損はなく,翌日のCTで異常を認めず経過良好で退院した.既報の症例と合わせ検討した結果,食道憩室部病変に対するESDの治療成績は概ね良好だが術前評価や術中管理にばらつきがみられた.EUSによる筋層の評価,CTでの周囲臓器との位置関係の確認,耐術能評価と全身麻酔または全身麻酔への移行準備,および穿孔時に外科的修復可能な体制が実施要件として挙げられると考えられた.