日本消化器内視鏡学会雑誌
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糸付きクリップを用いたトラクション補助下超音波内視鏡下吸引生検による小さい胃粘膜下病変の診断:ランダム化比較試験(動画付き)
蓑田 洋介 鈴木 祐輔荻野 治栄長友 周三郎白 暁法江崎 充和田 将史田中 義将畑 佳孝藤森 尚梅北 慎也鶴丸 大介太田 光彦沖 英次伊原 栄吉小川 佳宏
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2026 年 68 巻 2 号 p. 160-170

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抄録

【目的】超音波内視鏡ガイド下穿刺吸引法/生検(EUS-FNA/B)は胃粘膜下病変(粘膜下病変)診断のゴールドスタンダードであるが,20mm未満の病変の診断は依然として困難である.われわれは,これまで糸付きクリップを用いて病変を牽引し可動性を安定させ,針の穿刺を容易にすることで診断精度を高めた糸付きクリップによるトラクション補助下EUS-FNB(TA-EUS-FNB)という工夫を行った.本研究は,小さな胃粘膜下病変の診断におけるTA-EUS-FNBの有効性を評価するものである.

【方法】この前向きランダム化比較クロスオーバー試験(2019年8月~2022年11月)では,20mm未満の胃粘膜下病変を有する患者30名を,TA-EUS-FNBまたは通常のEUS-FNBのいずれかを受ける群に無作為に割り付けた.各患者は,各方法で2回ずつ,合計4回の穿刺を受けた.主要評価項目は,両手技における適正検体採取率とした.副次評価項目は,診断成功率および消化管間質腫瘍(GISTs)と非GISTsを鑑別する診断能(感度および特異度)とした.

【結果】平均腫瘍径は15.0mmで,診断の内訳はGISTs(n=15,50%),平滑筋腫(n=8,26.7%),神経鞘腫(n=2,6.7%),迷入膵(n=3,10%),炎症(n=2,6.7%)であった.TA-EUS-FNBは,EUS-FNBよりも有意に高い適正検体採取率(90% vs. 66.7%,P=0.035)および診断成功率(86.7% vs. 63.3%,P=0.037)を示した.感度(86.7% vs. 66.7%)および特異度(両群とも100%)は,両方法間で同等であった.本研究では有害事象は観察されなかった.

【結論】TA-EUS-FNBは,20mm未満の粘膜下病変に対して,通常のEUS-FNBと比較して優れた検体採取率と診断成功率を示した.小さい粘膜下病変におけるEUS-FNBの成功には,病変の可動性を制御することが不可欠である.

【試験登録】本研究は,CONSORTガイドラインに従い,大学病院医療情報ネットワーク臨床試験登録(UMIN 000037494)に登録された.

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