【目的】本研究の目的は,無痛性膵石に対する内視鏡治療が及ぼす臨床的影響を明らかにすることである.
【方法】無痛性の主膵管内膵石を有する慢性膵炎患者268例(内視鏡治療群145例,保存的治療群123例)を解析した.これら症例の膵萎縮,糖尿病の新規発症/増悪,疼痛出現を調査し,無痛性膵石に対する内視鏡治療が及ぼす臨床的影響を保存的治療群と比較し評価した.
【結果】保存的治療を基準とした場合,内視鏡治療による膵石完全除去は,治療後の膵萎縮発生リスクを低下させた(ハザード比0.42,95%信頼区間0.21~0.84).内視鏡治療を開始したものの治療対象膵石の完全除去に至らなかった場合は,糖尿病の新規発症/悪化(ハザード比2.08,95%信頼区間1.10~3.91),疼痛発生(ハザード比4.03,95%信頼区間1.45~11.19)の相対リスクが上昇していた.
【結論】無痛性膵石を有する慢性膵炎患者において,内視鏡治療による膵石の完全除去はその後の膵実質体積の維持につながるが,完全除去に至らなかった場合は,耐糖能の悪化や疼痛症状の出現のリスクが上昇する.