日本消化器内視鏡学会雑誌
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胃の隆起型異型上皮巣の内視鏡的検討
―特にその色調と組織学的関連性について―
大井田 正人桑尾 定仁安海 義曜三橋 利温福井 光治郎勝又 伴栄西元寺 克礼三井 久三岡部 治弥比企 能樹
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1979 年 21 巻 10 号 p. 1236-1245

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抄録
 生検組織診断GroupIII の隆起型異型上皮巣(異・上皮)とIIa型早期胃癌(IIa)の内視鏡的特徴について,北里大学病院開院以来約6年間に経験したそれぞれ16病変について検討を行なった.その結果は,(1)異上皮は,前庭部に多く,体部に少ない.IIaは体部にもみられる.(2)異上皮の大きさは,2 .0cm以下のものが多いが,IIaは,2.0cm以上のものが多い.(3)異上皮の色調は,蒼白か'または周辺粘膜と変化がない事が多く,びらんを認めない.IIaは,大多数が発赤を呈し,びらんを伴っていた.さらに,内視鏡的色調と組織像の比較を,粘膜内要素すなわち,嚢胞状腺管拡張,びらん,うっ血,充血,血管数について検討した.嚢胞状腺管拡張は,色調と関係が少なく,蒼白または,周辺粘膜と変化のないものは,病巣部の血管数が周辺粘膜に比し少なかった.しかし発赤を呈しているものでは,必ずしも血管数が多くはなく,びらん,うっ血,充血などが少なからず関係していた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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