抄録
大腸内視鏡検査時の合併症は局所の出血,穿孔をはじめとして多岐にわたり経験されている.われわれの施設では最近,術中大腸ファイバー一スコピー時に発生した,門脈ガス血症の1例を経験した.患者は27歳,女性で3年前より腹痛,下血,発熱を繰り返す重症の潰瘍性大腸炎に苦しんでおり,1977年5月19日手術にふみきった.全麻下に開腹直後,上位結腸切離部位決定のため大腸ファイバースコープを挿入した.送気により拡張した,結腸より,突然大量のairが下腸間膜静脈内に流入し,患者は急激な血圧下降を示した.麻酔医の適切な処置により回復し,大腸亜全摘,回腸直腸吻合術を行った.本症例における門脈ガス血症の発生機序等に関し文献的考察を加え,報告した.