各種肝疾患患者259例に腹腔鏡検査ならびに肝生検を施行した.疾患のうちわけは急性肝炎44例,慢性肝炎171例(うち慢性肝炎非活動型28例,同活動型122例,小葉改築傾向を伴う同活動型21例),および肝硬変44例であった.これらの症例につきその肉眼所見,一般肝機能検査を組織像と対比した.一般肝機能としては,S-GOT,血清アルブミソ,血清γ-グロブリン,コリンエステラーゼ,ICG消失率,BSP45分停滞率を選んだ.肉眼所見としてはKalkの分類と島田の番地分類を用いた. 大白色肝においては,血清γ-グロブリン値とBSP停滞率が急性肝炎と慢性肝炎の鑑別に有用であった.また斑紋結節肝,初期結節肝では,ICG消失率がいわゆる前硬変状態を意味する小葉改築傾向の有無とよく相関していた. 腹腔鏡ならびに肝生検は,常に肝疾患患者すべてに施行することはむずかしく,このような場合には肝機能検査のみから疾患を予測しなけれぽならない.そこでわれわれはS-GOT,血清アルブミソ,血清γ-グロブリン,ICG,BSPを組み合わせて肝機能スコアを考案した.この方法により,慢性肝炎の非活動型と活動型の鑑別が可能であった.また活動型の方が非活動型に比べHBsAg陽性率,RA-test陽性率が高率であった.
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