抄録
すでにわれわれは虚血性大腸炎症例を17例経験しているが,今回は一過性虚血性大腸炎12例について主に臨床像と検査所見,とくに内視鏡所見に重点をおいて検討をおこなった. (1)年齢は28歳から73歳までで,平均年齢は51.1歳と比較的若い年代に多く,また合併を有するものは少なかった. (2)病変部位としてはS状結腸病変および横行結腸病変がもっとも多くおのおの5例ずつであり,脾彎曲部病変は2例のみであった. (3)症状としては腹痛は全例,下痢は11例,下血は10例にみられたが,いずれも特別な治療をおこなうことなく短期間に軽快した. (4)X線検査では7例にthumbprinting像がみられた.一方,内視鏡検査では8例に縦走潰瘍がみられ,本症に特有な所見であると考えられた. (5)自験例の解析および文献的考察より本症発生には微小血管のspasmusがなんらかの関与をしているのではないかと推測された.