日本消化器内視鏡学会雑誌
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22 巻, 11 号
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  • 三木 一正, 平山 洋二, 丹羽 寛文, 岡 博, 織田 敏次
    1980 年 22 巻 11 号 p. 1519-1525
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    昭和53・54年度の某職域胃集検において,延受検者数3,457名中449名に直視式細径ファイバースコープGIF-P2による内視鏡二次精検を実施し,側視式スコープGT-PA2を使用した昭和51・52年度―延受検者数3,548名,うち内視鏡二次精検者372名―の成績と比較検討し以下の結論を得た。1)直視式細径ファイバースコープを胃集検に導入することは,胃病変のみならず球部病変の正確な診断を可能とし,必要に応じて直ちに治療を加えることができる.2)発見胃病変では,胃癌・胃潰瘍などの治療を要する胃病変の発見率には差を認めなかったが,胃潰瘍瘢痕については側視鏡の方がより高率に発見された.3)間接X線像で球部不充盈の場合,実際に球部に潰瘍のあるものは極めて少なく,多くに胃びらん,とくに幽門前部びらんの存在を認め,これは球部変形の場合よりも高率であった.4)撮影能に関しては,術者の熟練が大きく関与することが再認識された.
  • ―ふたたび山口県下アンケート集計を中心に―
    原田 元, 多田 正弘, 永富 裕二, 河野 裕, 松田 彰史, 富士 匡, 飯田 洋三, 岡崎 幸紀, 竹本 忠良
    1980 年 22 巻 11 号 p. 1526-1532
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    最近の消化管内視鏡の進歩は,目を見はるものがあり,また検査回数も著明な増加をみている.そこで内視鏡検査における偶発症の実態に多少の変動がみられると考え,1978年1月より1979年12月末までの2年間における消化管内視鏡検査の偶発症について,ふたたび山口県下のアンケート集計と山口大学第一内科の集計を行ったところ,一般内視鏡検査51,307回,消化管生検9,733回,ポリペクトミー199回,ERCP1,606回のうち,偶発症は36例(0.07%)であった.発生した偶発症のうちわけは,出血11例,亀裂・裂傷9例,穿孔6例などであった.とくに前回(1978年)の山口県集計と比較したところ,今回の集計でもやはり出血が最も多く,次に亀裂・裂傷が多いのが特徴と思われた.
  • 久野 信義, 春日井 達造, 栗本 組子, 伊藤 克昭, 種広 健治, 杉原 康弘
    1980 年 22 巻 11 号 p. 1533-1543
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    十二指腸ファイバースコープを用いて,直視下に乳頭挿管し,secretin刺激後30分間に亙り,10分毎に分画採取した純粋膵液にっき,液量,蛋白濃度,amylase濃度及びoutput,重炭酸塩濃度などを測定し,膵機能検査を行い,ERCPによる膵管像と比較検討した.ERCPで高度膵炎と診断された例,膵頭部癌例において,各分画の液量,総液量とも著明に低下を示した.最高重炭酸塩濃度も高度膵炎例において,低値をとる傾向を示した.10分分画におけるamylase濃度,output及び総amylase outputは,ERCPにより輕度膵炎と診断された例において,明らかに高値を示した.このことは,膵障害の進展において,まず過分泌の状態が起こり,その後次第に外分泌の低下に到ることと符号すると考えられる.
  • 森下 鉄夫, 神谷 利明, 三浦 総一郎, 相磯 貞和, 神谷 知至, 朝倉 均, 土屋 雅春
    1980 年 22 巻 11 号 p. 1544-1551
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    肝・胆道系および膵疾患50症例に対して内視鏡的逆行性膵胆管造影(以下ERCPと略す),腹部コンピューター断層撮影法(以下CTと略す)および腹部超音波検査法(以下USと略す)を施行し,ERCPを中心に各疾患における各種単独診断率および3種併用による総合診断能と限界を検討し,次の成績を得た. 3種検査法組み合わせによる肝,胆道系,膵疾患全体の正診率は50例中46例(92%)であっあ。肝・胆道系疾患24例におけるERCP単独の正診率は16例(67%)であり,CTも併用すると21例(88%),さらにUSを加えると22例(92%)まで上昇した.膵疾患26例ではERCP単独で22例(85%)の診断適中率を示し,CT,USを併用しても24例(92%)と肝・胆道系疾患に比し併用効果は低かった.特に慢性膵炎ではERCP単独の69%に対し,CT,US各々の15%の正診率は低かった.肝・胆道系,膵疾患腫瘍では3種検査法の組み合わせで100%診断可能であったが,すべてが進行癌であった.今後簡単で信頼性のあるスクリーニング法の開発が望まれる.
  • とくに微小腺腫について
    佐藤 文生, 西沢 護
    1980 年 22 巻 11 号 p. 1552-1561
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     拡大ファイバースコープを使用し,大腸隆起性病変を拡大観察すると,種々の模様像がみられる. さらに普通観察では全く正常と思われる粘膜面にも正常腺口像とは明らかに異なる異常腺口模様像がみられることがある.これらの異常腺口模様像は非常に微小なために組織診断を得るのが困難である. 一方大腸固定標本を実体顕微鏡的に拡大観察してみると,生体の場合と良く似た微小異常腺口模様像がみられ,病理組織学的検索の結果,腺腫や過形成性ポリープと診断された. そこで正常例(行政解剖例)と大腸癌切除例に実体顕微鏡的に拡大観察を行い,特に腺腫について検討した.その結果,1mm以下の微小腺腫にも種々の異型性がみられ,その表面の拡大像にもいろいろのパターンがみられることがわかり,これらの微小腺腫の異常腺口模様がパターン分類されれば,生体の拡大観察で微小腺腫が同定でき,腺腫の発生・発育が観察できることが示唆された.
  • 河野 裕, 藤田 潔, 小田原 満, 渡辺 正俊, 針間 喬, 内田 善仁, 藤川 佳範, 竹本 忠良
    1980 年 22 巻 11 号 p. 1562-1566
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    過敏性大腸症候群(以下ICS)の多くの発症誘因のうちの一つとして,便の貯留をとりあげ,便の貯留とICS患者の腹痛との関連性を検討する目的で,S状一下行結腸移行部にゴム球を留置し振張させ,その時の深部大腸を含む任意の複数部位で大腸内圧を測定する方法を考案した.この方法は,S状―下行結腸移行部へ便が貯留した状態による全結腸の運動性の変化を記録することを可能にしたと考えている.
  • 多田 正大, 西脇 和善, 西村 伸治, 鹿嶽 研, 山本 実, 原田 稔, 提嶋 俊一, 川井 啓市
    1980 年 22 巻 11 号 p. 1567-1571
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     近年,小児に対する消化器内視鏡検査法の診断的ならびに治療的意義が再確認されてきており,成人に対する内視鏡検査法の手技と器械の改良を基礎に,小児内視鏡検査法も次第に普遍化してきている.小児の大腸内視鏡検査は小児に適した大腸ファイバースコープがなかったことも一因で,まだ一般には普及していない. 本稿では試作細径大腸ファイバースコープ(CF-P,CF-11,Olympus)を用いて,15歳未満の小児24例53回に対して行った検査成績を報告したが,目的部位までの挿入率は100%であり,生検やポリペクトミーも安全に施行することができた.小児の大腸は菲薄であるため,検査手技の熟練と慎重さを要するが,細径大腸ファイバースコープの開発によって,成人に対する検査と同様,小児に対しても安全,しかも確実に大腸内視鏡検査が可能になった点を強調したい.
  • 桑島 士郎, 小林 絢三, 岡 史朗, 村井 雅己, 田申 吉之助, 北野 厚生, 山本 祐夫
    1980 年 22 巻 11 号 p. 1572-1578_1
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    直腸鏡(SIG-SL-AX,Machida,×10)による直腸粘膜微細血管の拡大観察は,通常鏡と併用すれば潰瘍性大腸炎の病期判定に役立つばかりでなく,類似疾患との鑑別においても有用であった.正常例ではリーベルキューン腺をとり囲む微細血管の円形模様が蜂の巣状を呈するのが観察される.潰瘍性大腸炎の活動期に観察が困難であった蜂の巣状模様は,非活動(=移行)期には回復がみられる.緩解期には微細血管の規則性の回復は著明であり,ほとんど正常な蜂の巣状模様がみられる.拡大観察は,本症の特に非活動期を判定するうえで役立った.非定型直腸潰瘍,および非特異性直腸びらんと考えられた潰瘍性大腸炎に類似の例においては,血管像は潰瘍性大腸炎のどの病期とも一致するとは考え難かった.この直腸鏡による詳細な観察は容易かつ簡便であることから,この種の内視鏡は直腸の日常検査に有用であると思われる.
  • 渡辺 正俊, 小田原 満, 藤田 潔, 針間 喬, 内田 善仁, 河野 裕, 藤川 佳範, 野村 幸治, 竹本 忠良, 浜田 義之, 青山 ...
    1980 年 22 巻 11 号 p. 1581-1591
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     すでにわれわれは虚血性大腸炎症例を17例経験しているが,今回は一過性虚血性大腸炎12例について主に臨床像と検査所見,とくに内視鏡所見に重点をおいて検討をおこなった. (1)年齢は28歳から73歳までで,平均年齢は51.1歳と比較的若い年代に多く,また合併を有するものは少なかった. (2)病変部位としてはS状結腸病変および横行結腸病変がもっとも多くおのおの5例ずつであり,脾彎曲部病変は2例のみであった. (3)症状としては腹痛は全例,下痢は11例,下血は10例にみられたが,いずれも特別な治療をおこなうことなく短期間に軽快した. (4)X線検査では7例にthumbprinting像がみられた.一方,内視鏡検査では8例に縦走潰瘍がみられ,本症に特有な所見であると考えられた. (5)自験例の解析および文献的考察より本症発生には微小血管のspasmusがなんらかの関与をしているのではないかと推測された.
  • 鈴木 重雄, 西塚 陽子, 田中 正人, 春田 和廣, 市川 正章, 中沢 三郎
    1980 年 22 巻 11 号 p. 1592-1596_1
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    抗生物質に起因する偽膜性大腸炎の2例を報告した.第1例は69歳の女性で基礎疾患に再生不良性貧血・ヘモジデローシスを有し,経過中に敗血症を併発したため,CB-PC159/dayとCEZ 3g/eayを使用したところ,水様下痢・腹痛が出現した.大腸内視鏡像では半球状の黄白色隆起がびまん性にみられ,ことに直腸では偽膜は融合し,全周性に直腸内膜を被い,口側に比し著明な変化を呈していた.注腸X線像では直腸から横行結腸にかけて小円形透亮像がびまん性にみられた.第2例は14歳の女性で急性骨髄性白血病にて入院,化学療法を施行,同時にCEZ99/dayを使用中に血性下痢・腹痛にて発症した.大腸内視鏡像・注腸X線像ともに第1例とほぼ同様な所見を呈した.第1例,第2例ともに抗生物質を止めると同時にステロイド・ゲンタマィシン・生理的食塩水の注腸をくり返し行なったところ,症状および大腸内視鏡像とも改善を認め,20~30日で治癒した. 抗生物質の使用中に腹部症状が出現した場合には常に本症の存在を考慮し,早期に対処していくことが重要である.本症の診断に際しては大腸内視鏡所見が極めて特徴的であり,また病変が肛門側ほど強い変化を示すことより,下部大腸ことに直腸の内視鏡検査が極めて有力であると考えられる.
  • 渡辺 能行, 尾崎 正行, 奥田 宗久, 島本 和彦, 増山 晴幸, 奥田 忠美, 多田 正大
    1980 年 22 巻 11 号 p. 1597-1600_1
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    最近,われわれは,全身麻酔下で内視鏡的ポリペクトミーを行なった小児Juvenile Polypの1例を経験した.症例は7歳の女児で著明な貧血を伴なう下血にて来院した.メッケル憩室あるいは結腸ポリープよりの出血を疑い,小児のため全身麻酔下で大腸内視鏡検査を行なった.Bauhin弁より約5cm肛門側の上行結腸に出血源と思われる有茎性ポリープを認め,内視鏡的ポリペクトミーを施行した.切除ポリープは,組織学的所見よりJuvenile Polypと診断された.ポリペクトミー後,合併症もなく経過し,貧血も改善した.本症に対する治療法として,S状結腸以深では開腹術が主に行なわれてきたが,大量下血をきたし,急性貧血を呈する幼児の場合,早期に内視鏡検査を施行し,診断を確定し,同時に積極的に内視鏡的ポリペクトミーを行なうべきものと考える.
  • 1980 年 22 巻 11 号 p. 1601-1615
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 22 巻 11 号 p. 1616-1707
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 22 巻 11 号 p. 1711
    発行日: 1980年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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