抄録
X線検査および内視鏡検査の進歩にもかかわらず,小腸悪性腫瘍の報告例は極めて少ない.著者らは,Treitz靱帯から約15cm肛門側にあった小腸腫瘍を,小腸内視鏡検査(使用器種:オリンパス製SIF-B)および直視下生検法によって術前に惡性リンパ腫と診断し手術を施行した一症例を経験したので報告した.手術標本の肉眼所見は3.5×5cm,低隆起性の腫瘍で,表面はやや凹凸不整,一部に線状の潰瘍が認められた.組織所見は一部漿膜面に浸潤が認められたが,比較的浸潤の程度が軽度の悪性リンパ腫であった.著者らは更に自験例を含め,内視鏡的に観察された小腸悪性腫瘍の報告例の内視鏡像について考察を加えた.