日本消化器内視鏡学会雑誌
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腹腔鏡検査の心機能に及ぼす影響―心エコー図による検討―
上田 稔芳野 健太田 亘伊藤 俊雄斉藤 大治島田 宜浩長島 秀夫窪田 政寛原岡 昭一
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1980 年 22 巻 4 号 p. 515-520

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抄録
 本邦で通常行われている局麻下での腹腔鏡検査の心機能に及ぼす影響(特に気腹の影響)を心エコー図法(Pombo法)を用いて検討した.左室拡張末期容量は気腹前値119士30mlが気腹中には102士27mlと有意(P<0.02)に減少した.左室収縮末期容量は気腹前37±18mlが気腹時には35士11mlで有意な変化を認めなかった.1回拍出量(strokevolume)は気腹前値83士25mlが気腹申には67±21mlと有意(P<0.01)な減少を認めた.また心拍出量も気腹値5.8±1.51/minが気腹中には4.7士1.21/minと有意(P<0.05)に減少した. 腹腔鏡検査時はVagotonieの影響も加わり脈拍の減少,血圧の低下をきたすことが多い.従って,循環血液量の減少している老年者,長期間降圧剤の投与を受けている患者では腹腔鏡検査時には充分な循環動態の管理が必要である.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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