日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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早期胃癌診断における胃生検の洗い直しと反省
飯田 洋三東 光生竹内 憲多田 正弘原田 之斉藤 満宮崎 誠司佐高 万理夫永富 裕二小田原 満後藤 一紀前谷 昇河原 清博榊 信広河村 奨岡崎 幸紀竹本 忠良
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1981 年 23 巻 1 号 p. 53-58

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抄録
 直視下胃生検法の開発によって,早期胃癌症例が飛躍的に増加してきたことを考えてみても,胃生検法が早期胃癌診断に有力な手段であることは充分に理解される.しかし,胃生検を過信するあまりに胃癌を見逃してしまうことも,まれではあるが経験する. 今回,筆者らは教室例を中心に早期胃癌342症例,374病変を検討し,とくに生検診断の現況を検討した.各病変に対する生検の的確さを評価するために生検陽性率(癌陽性生検個i数/生検個数)を各病変ごとに算出した.早期胃癌を肉眼分類別にみるとIIaが92.3%と生検陽性率がもっとも高く,一般に隆起型の方が陥凹型に比べ生検陽性率が高い傾向を示した.この理由として隆起型の方が生検部位を限定することが容易であるからと考えている.一方,,病巣の大きさ別に検討すると,病巣が大きいからといって生検陽性率は必ずしも高くなく,病巣の大きさとの間には明らかな関係はみられなかった.このことは内視鏡的に病巣が大きく,また明らかに癌が診断可能であると,生検を行うものに慎重さが不足しているのではないかという反省とともに,安易な生検あるいは生検結果の過信をしてはならないことを痛感した.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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