日本消化器内視鏡学会雑誌
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腹腔鏡直視下色素撤布法に関する臨床的および実験的研究
関谷 千尋美馬 聰昭矢崎 康平高橋 篤富永 吉春大原 和明並木 正義
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1981 年 23 巻 12 号 p. 1788-1799

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抄録
 腹腔鏡検査によって肝線維化の状態や程度を把握することは,肝炎の病態や進展過程を知るうえに重要である.この場合,補助的手段としての色素撒布法はきわめて有用である.このことは,色素撒布法を施行した500例の臨床的検討と,剖検肝,およびイヌの肝を用いての実験的研究結果からも裏付けられた.すなわち色素撒布により貯溜した色素が織りなす模様と,肝生検組織がAZAN染色によって染まる膠原線維の様相とはよく一致していた.このため肝炎の進展程度を5段階に分けて検討したところ,肝生検組織像との一致率は87.6%と高かった.不一致例の多くはoverreadingであった.剖検肝の検討でも,色素貯溜部の大きさや巾の程度とよく一致していた.また,イヌの実験で肝被膜部の病変と色素貯溜の状態とはよく相関する結果を得た.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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