日本消化器内視鏡学会雑誌
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胃集検による胃静脈瘤の発見が診断のきっかけとなった無症状のCaroli's Diseaseの1例
矢崎 康幸林 英樹富永 吉春高橋 篤長谷部 千登美大原 和明関谷 千尋並木 正義
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1981 年 23 巻 3 号 p. 441-448_1

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抄録
生来健康で何ら自覚症状はないが胃集検でたまたま胃静脈瘤が発見され,その精査の過程でカロリー病(混合型)と診断された36歳男性の1例にっき報告した.著明な胃静脈瘤と食道静脈の軽度怒張を認め,ERCPにて肝内胆管に多発性嚢胞状拡張をみるが肝外胆道に異常なく膵管胆管合流異常もない.腹腔鏡検査では肝は非常に硬く白褐色調で,なだらかな凹凸を有し,肝生検組織には典型的な先天性肝線維症の所見がみられた.腎エコーグラム,腎シンチグラム,逆行性腎孟尿管造影にて多発性嚢胞腎,海綿腎の所見を得た.肝機能検査上,胆道系酵素の中等度上昇をみ,赤沈値の軽度亢進,血清BUN,クレアチニン値,PSP検査値に軽度異常を認めた.無症状のうちに発見されたカロリー病は今まで報告例がなく,本症の自然経過をみる上にも貴重な症例と思われ,本邦例13例の検討と若干の文献的考察を加えて報告した.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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