抄録
症例は75歳男子で食欲不振,軟便を主訴に53年4月本院に入院した.入院時四肢末梢の色素沈着,爪甲の変形がみられたが,脱毛は軽度であった.検査所見では低蛋白血症,電解質異常を認め,RISA試験は13.8%と亢進していた.消化管X線・内視鏡検査にて食道を除く全消化管にポリポーシスを認めた.大腸ポリープの生検組織像では嚢胞状に拡張した腺管と間質の浮腫,細胞浸潤がみられた.以上よりCronkhite-Canada症候群と診断しステロイド剤の投与を行なった.まもなく臨床症状が改善したため退院し,ステロイド維持量にて通院治療を行なった.約1年半後,消化管検査を行なったところ胃・大腸共著明なポリポーシスの改善が認められた.近年本症候群の報告数は増加しつつあるが,ポリポーシスの改善をみたとする報告は少ない.本症候群の病因は不明であるが,本例は消化管ポリープの成因を考える上で貴重な症例であると考えられた.