日本消化器内視鏡学会雑誌
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脾静脈閉塞と胃静脈瘤を伴った膵仮性嚢胞の2例
河野 健次中田 恵輔室 豊吉古河 隆二楠本 征夫棟久 龍夫長瀧 重信石井 伸子小路 敏彦
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1981 年 23 巻 8 号 p. 1160-1164

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抄録
 大量飲酒家で,脾静脈閉塞と胃静脈瘤を伴った膵仮性嚢胞の2例について文献的考察を加え報告する.症例1は51歳男で吐血,症例2は38歳男で下血の既往がある.両症例とも上部消化管造影で胃穹隆部に静脈瘤があり,選択的腹腔動脈造影で脾静脈閉塞胃静脈瘤および著明な側副血行路形成を認めた.さらに,腹腔鏡検査で胃大彎側に沿った著しい静脈の拡張蛇行がみられた.逆行性膵胆管造影では膵尾部において主膵管の圧排像がみられた.手術により,慢性膵炎を確認,膵尾部に生じた仮性嚢胞が脾静脈を圧迫閉塞していることが判明した.なお,肝組織像はグリソン鞘における軽度の線維化があるだけであった. 膵仮嚢性嚢胞による脾静脈閉塞は比較的稀とされているが,腹腔動脈造影の普及によって今後著者らのごとき報告例の増加が予想される.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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