日本消化器内視鏡学会雑誌
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4年間経過観察し,高ガストリン血症,高ヒスタミン血症を呈した胃カルチノイドと原発性胆汁性肝硬変合併の1例
和田 英利秋山 俊夫井本 一郎南 昭治岸本 幸彦宮地 一馬
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1982 年 24 巻 6 号 p. 930-937

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抄録
高ガストリン血症,高ヒスタミン血症随伴胃カルチノイドと原発性胆汁性肝硬変を合併した1症例を経験したので報告する.患者は56歳,女性で昭和51年悪心を訴えて,三重大学第3内科を受診し,肝機能検査値異常を指摘され,胃X線検査,胃内視鏡で胃体上部前壁に山田III型隆起性病変を認めた.4年間過形成性ポリープとして経過観察され,昭和55年11月に内視鏡的ポリペクトミーで胃カルチノイドと確診された.切除胃では他に4個の小カルチノイド病変と数カ所に好銀性細胞の過形成を認めた.銀還元性反応陰性・好銀性反応陽性であった.血中ホルモン検査ではガストリン,ヒスタミンが高値であり,術後正常化した・生化学検査では,ALP,T-choが高値であり,抗ミトコンドリア抗体陽性であった。外科的生検肝で原発性胆汁性肝硬変と診断された.高ガストリン血症,高ヒスタミン血症随伴胃カルチノイドと原発性胆汁性肝硬変の合併例の報告はなく,興味ある症例と考え報告した。
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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