1983 年 25 巻 10 号 p. 1529-1534_1
胃粘膜下嚢腫は稀な疾患であるが,胃癌を合併する頻度は高く,最近注目を集めている.著者らは,胃粘膜下嚢腫に合併した多発胃癌を3例経験した. 症例1:57歳男性:胃体上部に多発性粘膜下嚢腫,線状潰瘍瘢痕およびIIb型粘膜癌と胃角部にIIc型粘膜癌を認めた. 症例2:75歳男性:胃体下部に多発性粘膜下嚢腫と早期癌2個(mおよびsm)を認めた. 症例3:77歳女性;胃体部に粘膜下嚢腫,前庭部に進行癌(pm)とIIa型粘膜癌,胃角部にgroupIIIの異型上皮巣を認めた. 胃粘膜下嚢腫の成因,嚢腫と癌の関係にっいて文献を加えて考察し,胃粘膜下嚢腫の臨床的意義についてもふれた.