抄録
各種の胃癌組織標本にArgon laserを照射し,蛍光観察,及びスペクトル分析を行なった.また,通常の蛍光顕微鏡像との比較から,レーザー光を用いることの得失についても検討した. 無染色標本では血管の内弾性板に強い蛍光が観察された. HE染色標本では,胃小窩上皮,血管壁,粘膜筋板,間質の結合織,細胞質などに蛍光が観察され,蛍光スペクトル分析から,これらの蛍光はEosinの蛍光であることが判明した.また,印環細胞では胞体の粘液顆粒が明らかとなった. しかし,これらの所見は,いずれも通常の蛍光顕微鏡においても,同様に得られ,レーザー光の有用性はあまり認められなかった. 従って,LIFMは通常の蛍光観察よりは,むしろmicroirradiationによる,より選択的な蛍光分析や顕微鏡的蛍光時間分解スペクトルなどに応用されるべきものと考えられた.