抄録
切除された胃潰瘍470例,549個をその全範囲にわたり5mm幅で半連続的に全割し,その再生上皮について,とくに腸上皮化生化を中心に病理組織学的に検索した.その結果,1)胃潰瘍再生上皮の約70%は腸上皮化生化を示し,河内らのいわゆる完全型も不完全型も含まれていた.2)再生上皮は一度"先祖帰り"の現象として腸上皮の性格をおび,それから再分化するか,あるいは腸上皮化生として残存するかのどちらかと考えられた.3)胃底腺部または腺境界部に発生した潰瘍の約30%に壁細胞や主細胞の再生が認められた.以上から,再生上皮の治癒過程を通じて,腸上皮化生の発生をかなり解明しえた.