日本消化器内視鏡学会雑誌
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高齢者における大腸内視鏡検査前処置法の検討
松本 利彦村瀬 登志彦何 国彦飯田 都松本 文子水野 孝子鮫島 美子光島 徹
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1989 年 31 巻 2 号 p. 490-495

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抄録
高齢者(70歳以上)に大腸内視鏡検査前処置法として,sodium picosulfate(SP)と上野らが本邦に紹介した非吸収性・非分泌性腸管経口洗浄液(PEG液)の併用法を実施し,その有用性を簡便性・安全性・大腸洗浄効果の面から検討した.簡便性については,前処置所要時間・PEG液飲用時間・排便回数は軽減され,被検者のPEG液に対する評価も良好であった.また再検時の前処置に本併用法を望む者が圧倒的に多かった.安全性については,随伴症状を訴えた頻度は幾分高率であったがすべて軽微であり,血液検査によるHt・血漿浸透圧の変動も有意に少なく臨床的に無視し得るものであった.大腸洗浄効果はBrown変法に比べ明らかに優れ,全大腸において良好な洗浄効果が得られたことを内視鏡的に確認した.以上より,本併用法は特に高齢者において簡便性・安全性に優れ,大腸洗浄効果も良好なため,大腸内視鏡検査前処置法として,今後推奨されるべきものと考える.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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