抄録
レーザー及びマイクロ波を用いて内視鏡的治療を施行した早期胃癌症例の経過観察を行い,その局所治癒率および再発率から両治療法の有用性を検討した.症例の内訳は,YAGレーザー焼灼法17例25病変とマイクロ波凝固法18例19病変である.この他,手術を施行した5例6病変においては病理組織学的な検討を加えた.レーザー焼灼法では,隆起型,大きさ1cm未満,分化型,m癌で,それぞれ良好な局所治癒成績が得られた.マイクロ波凝固法では,レーザー焼灼法で良好な局所治癒成績が得られた上記病変の中にも,再発が認められたが,陥凹型未分化型癌,1cm以上の大きな病変,sm癌にも有効な症例があり,この点でレーザー焼灼法との相違が認められた.病理組織学的検討では,レーザー焼灼法は病変の境界部に癌残存が認められることがあり,また,マイクロ波凝固法は境界部のみならず凝固治療面内にも癌残存が認められることがあった.この他,不十分な初回治療により,癌細胞が線維化した組織内に埋没し,以後の治療が困難となった症例があり,初回治療の重要性が示唆された.
さらに,胃癌患者11例11病変に非接触YAGレーザー照射法による内視鏡的温熱療法を施行した.その結果,レーザー温熱療法単独で生検陰性となった症例は2例認められただけで,早期胃癌の温熱感受性や病変内の温度制御等に,いくつかの課題を残した.しかし,レーザー温熱療法は,化学療法との併用による進行胃癌治療や,他の内視鏡的治療を行った早期胃癌症例の局所再発防止のための有効な併用治療手段となりうる可能性が示唆された.