日本消化器内視鏡学会雑誌
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悪性貧血に合併した胃前庭部毛細血管拡張症
(Gastric Antral vascular Ectasia=GAVE)の1例
貝瀬 満田中 重之鈴木 昭文小林 義隆西村 誠領家 俊雄村岡 威士
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1990 年 32 巻 1 号 p. 93-99

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抄録
 悪性貧血を伴うGastric Antral Vascular Ectasia (=GAVE)の1例を経験したので報告する.症例は82歳女性.高血圧・大動脈弁狭窄・慢性肝障害を合併.高度の大球性貧血を指摘され当科入院.著明な高ガストリン血症を呈する悪性貧血及び胃前庭部にびまん性のvascular ectasia(=VE)を呈するGAVEと診断した.highriskであり手術を見送り,保存的な治療を試みたが長期間に渡り大量の輸血を必要とし,多臓器不全により死亡した.本邦報告例2例を含む50例のGAVEを検討した.GAVEは高齢の女性に多い傾向を示し,内視鏡的にwatermelon stomachとdiffuse antral vascular ectasiaの2つのタイプに分類出来た.VEを生じうる肝硬変・大動脈弁狭窄・強皮症・慢性腎不全などを合併する症例を認め,GAVEの成因との関連が推測された.また,GAVEには高率に無酸症を合併し,無酸症に伴う高ガストリン血症とGAVEの関係について検討を加えた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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