日本消化器内視鏡学会雑誌
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下血で発症した空腸原発悪性リンパ腫の1例
久保 達哉伊達 弘一井下 俊一福山 時彦大城戸 政行
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1990 年 32 巻 11 号 p. 2618-2625

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抄録

 症例は72歳の男性,下血を主訴に入院.小腸X線検査で,トライツ靱帯より約60cm肛門側の空腸に,約3.5cmにわたる限局性の狭窄像を認めた.口側の拡張は認めず,病変部との境界は比較的なめらかで悪性リンパ腫を疑った.また,腹部超音波検査,腹部CTでも同部位に腫瘤を認めた.術中内視鏡では皺襲が腫大し,粘膜面は粗ぞうで粘膜集中を伴い,病変部の境界は肉眼的には不鮮明で,一部に微細穎粒状隆起を伴っていた.腸間膜リンパ節を含めた,小腸部分切除を施行した.切除標本の組織診断は,Malignantlymphoma,small cell typeであり,免疫組織染色でphenotypeはB cell typeであった.現在外来にてCHOPによる化学療法を施行し,経過観察中である.

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