日本消化器内視鏡学会雑誌
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上部消化管出血に対するヒータープローブ法の基礎的臨床的研究―特にエタノール局注法との比較について―
田辺 聡小泉 和三郎横山 靖西元寺 克禮岡部 治弥
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1990 年 32 巻 4 号 p. 817-831

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抄録
 上部消化管出血に対するヒータープローブ法の臨床的な止血効果をエタノール局注法と比較検討するとともに,止血機序,安全性について基礎的実験を行い検討を加えた.ヒータープローブ法による止血率は,上部消化管出血89例中84例(94.4%)であり,エタノール局注法による止血率74例中64例(86.5%)と比較し高率であるが有意差は認めなかった.1回の止血操作による露出血管消失率はヒータープローブ法89例中60例(67.4%),エタノール局注法74例中36例(48.6%)とヒータープローブ法で有意に高率であった.短期再出血率はヒータープローブ法89例中13例(14.6%),エタノール局注法74例中14例(18.9%)であり,ヒータープローブ法でやや低率であったが有意差は無かった.また内視鏡操作上,出血血管に対して正面視しにくい症例にも有効であり,潰瘍の拡大,穿孔等の合併症は1例も認められなかった.一方,犬胃壁に対する本法の基礎的検討では,熱量の増加に従って組織の変性は,深度,幅とも増大したが,同一カ所に与える熱量としては60jでUlIIまたはUlIIIまでの変性にとどまり,さらに変性範囲も6mm前後で,臨床に応用しても安全な熱量の目安と考えられた.止血機序に関しては,胃壁小血管の攣縮により血管内腔の狭小化,さらに血管平滑筋及び内皮細胞の変性が生じ,血栓が形成され止血効果を発揮するものと考えられた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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