抄録
膵癌早期診断のための新たな生検法の開発を目的として,ESTを併用せずに膵管へ挿入可能な吸引生検器を試作した.さらに,主膵管狭窄例への臨床応用を行ってその安全性と有用性について検討したので,本法の概要と共に報告した.膵切除標本を用いた基礎的検討では,30~40cmHgの吸引圧で膵管組織を採取できた.臨床的検討では,ERCPにより主膵管狭窄がチェックされ,主膵管を含めた小病変が疑われた22例24病変に本法を行った.吸引生検器の病変部への到達率は22例中17例(77.3%),組織学的診断が可能な生検標本の採取率は19病変中16病変(84.2%)であり,全例が良性狭窄と診断された.吸引経路を利用した造影による安全な挿入,病変部からの正確な生検や人工的な挫滅の少ない良好な標本の採取が可能など,本法の有用性が示唆された.3例に術後膵炎と考えられる所見をみたが,重篤な合併症は認めなかった.今後さらに改良の必要があるが,本法は主膵管狭窄の質的診断や膵癌の早期診断に期待の持てる検査法と考えられる.