日本消化器内視鏡学会雑誌
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十二指腸潰瘍と胃癌の合併に関する研究
石見 法邦南雲 久美子飯塚 孝山崎 忠男野ツ俣 和夫伊藤 慎芳安部 孝土谷 春仁桜井 幸弘池上 文詔多賀須 幸男
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1991 年 33 巻 4 号 p. 758-765

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抄録
 昭和51年から63年までの期間に,関東逓信病院で,細径前方視鏡を用いて上部消化管を検査した36,388例について,十二指腸潰瘍(DU)と胃癌の関係について調査した.DUが異時性もしくは同時性に存在したものをDU合併胃癌とし,DU術後の残胃癌は除外した.それぞれの頻度は,DU9.39%,胃癌2.56%,DU合併胃癌は0.15%であった.年齢分布をみると,DU合併胃癌は50~59歳に多く,胃癌のそれと同一で,DUの40~49歳に比して10歳高齢である. 胃癌がDUを合併する頻度は5.7%,DUが胃癌を合併する頻度は1.6%であった.前者を早期胃癌と進行胃癌に分けてみると,それぞれ11.0%,2.80%で,早期胃癌でDUの合併率が有意に高い(P<0.001).男女で比較すると,両者の合併は男性で有意に高い(P<0.01).胃癌が診断された時点におけるDUの大半は瘢痕期にあった.70%の症例ではDUと胃癌が同時に発見されており,DUをfollowしているうちに早期胃癌を多く診断できたとは言えない.DU合併胃癌の胃癌診断時の症状は,腹痛,次いで吐下血である.早期胃癌についてDU合併胃癌の特徴を非合併胃癌と比較すると,陥凹した型が多く(P<0.01),胃潰瘍併存例が多く(P<0.01)A領域に多い傾向がみられた. DUが見逃される可能性が少ない早期胃癌のみについてみると,DU合併胃癌の頻度は両者の頻度を乗じた期待値と男性では一致したが,女性ではそれより少なかった.少なくとも男性では,DUの存在は胃癌発生の可能性を減じるものではない.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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