抄録
食道胃静脈瘤に対し予防的治療を行った174例および,緊急治療を行った60例の234例を対象に,食道胃静脈瘤の内視鏡所見と静脈瘤出血との関連につき検討を加えた.食道胃静脈瘤は内視鏡所見から,I-E:食道静脈瘤のみの症例,I-J:食道胃接合部からの連続する食道静脈瘤を有する症例,II-C:胃噴門小彎から連続する食道静脈瘤を有する症例,II-S:食道静脈瘤とともに食道胃接合部を取り巻くように存在する胃静脈瘤を有する症例,III:胃穹窿部に静脈瘤を有する症例,の5型に分類した.静脈瘤出血の頻度は,I-E型16%,I-J型19%,II-C型33%,II-S型43%,III型41%であった.また出血部位別にみると,食道静脈瘤出血は,I-E型16%,I-J型10%II-C型14%,,II-S型14%,III型19%に認められ,静脈瘤所見による差はなかった.食道胃接合部以下に出血点を認めた症例は,I-J型9%,II-C型18%,II-S型29%,III型31%であり,胃静脈瘤が著明になるほど胃静脈瘤出血の危険性が高かった.従って,胃静脈瘤とくに穹窿部静脈瘤合併例ではHassab手術などの積極的予防的治療が必要と考えられた.