抄録
自己免疫性肝疾患24例(A群:原発性胆汁性肝硬変16例,自己免疫性肝炎8例)に伴う萎縮性胃炎について,その他の慢性肝疾患28例(B群),健常群33例(C群)を対照として検討した.その結果,内視鏡的萎縮境界の分類による開放型萎縮境界の出現頻度はA群75.0%,B群53.8%,C群48.5%であり,A群では他の群に比し,開放型萎縮境界が有意に多く,腸上皮化生も広範囲に認められた.壁細胞抗体の陽性率はA群91.7%,B群28.6%,C群12.1%とA群において有意に高率であり,抗体価も有意に高力価であった.空腹時血清ガストリン値はA群160.4pg.%ml,B群77.6pg/ml,C群81.7pg/mlとA群に有意に高値を示した.以上から,自己免疫性肝疾患では胃粘膜萎縮の広範囲な進展が特徴的で,この進展には壁細胞抗体の関与が考えられた.体部胃炎の広がり,すなわち壁細胞の減少に伴って酸分泌が低下し,高ガストリン血症の誘導をもたらすことが示唆された.