抄録
Von Recklinghausen病に随伴しない単発性の回腸末端部神経線維腫の1例を経験したので報告する.症例は34歳女性.鮮血便を見たため受診した.X線注腸透視及び内視鏡で,回盲弁より約8cm口側の回腸に,正常粘膜に被れた表面平滑でくびれを有する隆起性病変が見られた.回腸粘膜下腫瘍と診断し,回盲部切除術を行った.粘膜下腫瘍の大きさは10×9×8mmで,白色調の充実性腫瘍で,正常粘膜に覆われていた.病理組織学的には,紡錘形,一部に勾玉様の核を持った細胞が錯走して配列し,被膜を有することなく粘膜下層に増殖していた.細胞分裂像は認めなかった.免疫染色で,核S-100蛋白抗体に陽性,NSE抗体にも陽性で,神経線維腫と診断した.単発性の神経線維腫は稀な疾患であり,若干の文献的考察を加えて報告する.