日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡止血困難あるいは生命予後不良の出血性潰瘍に関する検討―当院における14年間の緊急内視鏡症例の分析―
小山 孝則松永 千佳緒方 伸一野田 隆博武藤 義孝綱田 誠司後藤 祐大森田 秀祐大山 隆坂田 祐之岩切 龍一藤本 一眞
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1997 年 39 巻 1 号 p. 10-18

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抄録
 出血性潰瘍の予後と内視鏡止血の有用性・限界を検討するため,過去14年間に当院で緊急内視鏡を行った818症例を対象に検討を行った.その結果,出血性胃潰瘍で手術となった12症例は,胃角・胃体部の小弯・後壁に存在し,動脈性出血を呈する長尾分類上の重症症例が多く,病理学的検討で潰瘍底に出血の原因となった血管が同定された.緊急内視鏡後30日以内の死亡症例に関する検討では,多くの症例が重篤な基礎疾患を有し,十二指腸潰瘍では急性球後部潰瘍の性状を有する症例が多かった.出血性十二指腸球部潰瘍の潰瘍底所見と予後に関する検討では,非出血性露出血管や新鮮凝血付着の症例は,内視鏡下にトロンビンとエピネフリンの撒布を行うだけでも,再出血率が各5.6%,15.4%と低く,胃潰瘍に比し低率にとどまることが特徴的であった.今回の結果より,出血性潰瘍の予後因子としては潰瘍底の露出血管の有無,局在部位,基礎疾患の有無が重要であると考えられた.
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