日本消化器内視鏡学会雑誌
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胃の悪性顆粒細胞腫の1例
永岡 栄板東 隆文豊島 宏磯山 徹喜島 健雄武村 民子倉 禎二
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1997 年 39 巻 10 号 p. 1799-1804

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抄録

 症例は46歳女性.胃内視鏡検査で胃体部に,中央に膀窩を伴う粘膜下腫瘍を認めたため,胃襖状切除を施行した.大きさ20×12×6mmの黄白色充実性の腫瘍であった.組織学的には,腫瘍細胞は好酸性の微細顆粒を含む豊富な細胞質を有し,その顆粒はPAS染色陽性であり,ジアスターゼにより消化されなかった.免疫組織染色ではS-100蛋白陽性所見を示し,電顕像では細胞質内に電子密度の高い顆粒状物質を認めた.強拡大10視野に3~5個の核分裂像および静脈侵襲を認めたため,悪性顆粒細胞腫と診断した.静脈侵襲を認めた顆粒細胞腫の報告は過去になく,貴重な症例として病理組織学的検討を詳細に加え報告した.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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