1997 年 39 巻 10 号 p. 1818-1822
症例は63歳の女性,C型慢性肝炎の精査目的に入院.腹腔鏡検査では肝は陥凹の散在する斑紋肝であったが胆嚢では底部に直径約2cmの白色調の隆起を認めた.腹部波検査では,胆嚢は描出されなかったが,腹部CTでは,低吸収域を内包する腫瘤病変が認められた.ERCPでは胆嚢底部に中心に陥凹を伴う隆起性病変が認められた.胆嚢腺筋腫症が最礙われたが,CA19-9が軽度高値を呈していたため,胆嚢癌の合併を否定できず,胆嚢摘出術を実施した.摘出所見では,悪性所見は認めず限局型の胆嚢腺筋腫症であった本邦において,腹腔鏡検査にて発見された胆嚢腺筋腫症は報告例が少なく,貴重な症例と考え報告した.