日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
胃潰瘍の経過観察中に発見された胃癌症例の検討
白根 昭男坪野 吉孝久道 茂
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 39 巻 2 号 p. 183-190

詳細
抄録

1974年7月から1991年12月までの17.5年間に1年以上経過観察した胃潰瘍160症例のうち,潰瘍とは別の部位に胃癌の発見された症例は11例6.9%である.その内訳は早期胃癌10例13病巣,進行癌1例1病巣であり,早期癌のすべてがIIc型で,深達度はレーザーにより焼灼した1病巣を除く12病巣すべてがm癌であった.癌の占居部位はM領域に11病巣,A領域に3病巣で,胃潰瘍と癌の位置関係は8病巣が潰瘍の肛門側に,5病巣が潰瘍と同じ高さに,潰瘍の口側は1病巣のみであった.胃癌発見までの平均観察期間は4.7年であった.この成績と1983年から1987年までの宮城県の癌登録データを用いて計算した胃癌の罹患期待値と比較したところ,胃潰瘍患者の胃癌発見リスクは,男性については一般人口集団男性の6.19倍で,95%信頼区間では2.84-11.76と有意に高かった.

著者関連情報
© 社団法人日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top