日本消化器内視鏡学会雑誌
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胃静脈瘤硬化療法における超音波内視鏡の有用性についての検討
―静脈瘤径からみた硬化剤の選択―
落合 浩暢小原 勝敏東條 淳滝口 藤夫入沢 篤志坂本 弘明西問木 友衛粕川 禮司
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1997 年 39 巻 2 号 p. 191-198

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抄録

硬化療法(EIS)前後に超音波内視鏡( EUS) を施行した孤立性胃静脈瘤(Lg)18例を対象として,術前の内視鏡所見およびEUS所見と治療薬剤 (α-cyanoacrylate monomer (CA)) についてretrospectiveに検討した.18例中,F2,F3はそれぞれ9例であり,F因子別のEUSによるLg血管径は,F3において有意に径が大きかった (P< 0.05) .しかし,F因子とLgの胃壁貫通血管径には有意差は認められなかった.Lgの治療として, 18例中14例にCAを使用した.これら14例のLg径とCA使用量との間に,正の相関を示し (r=0.65) ,Lg径の増大とともにCA使用量は増加した.Lg径が5mm以上の症例は12例で,そのうち91.6%にCAが使用された.また,5例はCA注入量が2.4ml以上を必要とし,複数回のCA注入が必要であった.一方,EUSによる貫通血管径とCA注入量には相関関係を認めなかった.以上よりEIS前のEUSによるLg径測定は,CA使用の適否および有効なCA注入量の決定に重要と思われた.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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