抄録
内視鏡像ならびに組織像の特徴が異なるブルンネル腺由来の十二指腸腫瘍を2例報告した.症例1は1cm大の山田III 型隆起で,周辺粘膜と同一の色調をした粘膜下腫瘍様の内視鏡的形態を呈していた.鉗子で押すと比較的柔らかい腫瘤であった.組織像には萎縮した十二指腸粘膜に被われたブルンネル腺の過形成を認め,各腺房間は互いに密着していた.症例2はやや褪色調の1.5cm大の隆起で,山田III 型の粘膜下腫瘍様の内視鏡的形態を呈していた.また隆起の一部は陥凹し,その中央にピンホール状の孔を認めた.鉗子で押すと大変に硬い腫瘍であった.組織像にはブルンネル腺の結節性増生を認め,腺房間には線維性結合織が入り込んでいた.またブルンネル腺上皮による不完全な導管形成がみられ,この導管が内視鏡で観察された陥凹部へ開口していることが示唆された.以上のことより,本例は過誤腫と考えられた.内視鏡検査時に腫瘍部の硬さの程度と導管の開口部様所見の有無を把握することによって,ブルンネル腺の過形成と過誤腫の両者は鑑別できる可能性が示唆された.