抄録
患者は84歳,女性で,便秘を主訴として来院した.下部消化管造影で直腸S状部から下部直腸にかけてapple core signを認め,大腸内視鏡下生検で高分化型腺癌と診断した.画像検査にて,周囲臓器への直接浸潤,腹腔内リンパ節転移を認めた.開腹手術を拒否されたため,本人および家族の同意を得て直腸狭窄の改善を目的として,食道用ステント(Ultraflex)を内視鏡下に挿入した.ステントは留置直後よりほぼ完全に拡張し,3カ月たった現在も良好な排便コントロールが保たれており,外来にて経過観察中である. 高齢や手術困難な進行癌症例に対し,人工肛門増設術の代わりにステントによる内痩化をはかることは,低侵襲であり,QOLの面からも有用である.