1999 年 41 巻 12 号 p. 2509-2513
症例は62歳の男性.宴会の席で咀囑不十分なサザエのつぼやきを摂食後から胸骨後部に違和感が生じ,4日後に当院で検査を施行するに至った.上部消化管内視鏡検査で切歯列より38cmの食道内腔に食物塊の嵌頓をみとめ,内視鏡操作により胃の中に落下させ解除できた.この部位は伸展不良があるものの,組織生検やCT検査にて腫瘍性病変は否定されsteakhouse syndromeと診断した.嵌頓時に記録した心電図では虚血性のST変化を示しており,食道疾患と心電図変化を考える上で興味ある症例であった.