日本消化器内視鏡学会雑誌
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41 巻, 12 号
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  • 後藤 亨, 菱木 智, 田中 正仁, 志和 忠志
    1999 年 41 巻 12 号 p. 2495-2501
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     著者らは,虚血性心疾患に対するインターベンション療法後の上部消化管病変とH2-blockerのその予防効果を検討した.検討1:インターベンション療法を施行した20例に対して,2日後に上部内視鏡検査を施行し,11例(55.0%)に上部消化管病変を認めた.検討2:インターベンション療法を施行した20例に2群に無作為に分類し,一群は術直後よりfamotidine20mg×2/日を静脈投与とし(投与群),他群は非投与(非投与群)として,内視鏡所見を比較した.非投与群は12例中11例(92.7%)に上部消化管病変を認めたが,投与群は8例中1例(12.5%)に認めたのみであった(p<0.01). 虚血性心疾患に対する冠動脈インターベンション療法後には高頻度で上部消化管病変が出現するが,その予防にはH2-blockerの投与が有効と考えられた.
  • 高橋 裕司, 土屋 朝則, 下地 圭一, 大西 弘生, 森脇 久隆
    1999 年 41 巻 12 号 p. 2502-2508
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     緊急内視鏡を施行した下血症例を年齢別に分け,その原因疾患について検討した.40歳未満の若年者では32例中8例(25.0%)が虚血性大腸炎(IC)であり,全年齢層の下血症例の5.9%,全IC症例の23.5%を占めていた.また各年齢層の下血の原因疾患に占めるICの割合に差異を認めなかった.若年者IC症例では非若年者に比し基礎疾患を有する率が有意に低く,全例一過性型であった.一方,高齢になるほど狭窄型の占める割合が高くなり,狭窄型における基礎疾患を有する症例の割合は一過性型に比し有意に高値であった.若年者ICの発症には血管側因子の関与は少なく,これが若年者ICが軽症の一過性型を呈する理由と推定された.また習慣便秘を認める症例の割合は若年者と非若年者で差異はみられず,若年者ICの発症には種々の腸管側因子が関与しているものと考えられた.また若年者でも,ICを考慮した下血の鑑別診断をおこなう必要があるものと考えられた.
  • 中嶋 均, 村元 和則, 佐々木 博海, 奈良 秀八洲, 佐藤 研, 棟方 昭博
    1999 年 41 巻 12 号 p. 2509-2513
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は62歳の男性.宴会の席で咀囑不十分なサザエのつぼやきを摂食後から胸骨後部に違和感が生じ,4日後に当院で検査を施行するに至った.上部消化管内視鏡検査で切歯列より38cmの食道内腔に食物塊の嵌頓をみとめ,内視鏡操作により胃の中に落下させ解除できた.この部位は伸展不良があるものの,組織生検やCT検査にて腫瘍性病変は否定されsteakhouse syndromeと診断した.嵌頓時に記録した心電図では虚血性のST変化を示しており,食道疾患と心電図変化を考える上で興味ある症例であった.
  • 黒沢 正喜, 石橋 克之, 飯塚 美伸
    1999 年 41 巻 12 号 p. 2514-2519
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は72歳女性,胃角部前壁に20×13mmの粘膜下腫瘍様の隆起性病変を認めた.鉗子生検にて診断がつかないため内視鏡的胃粘膜切除(多分割切除)にて病変を切除した.切除標本では著明なリンパ球浸潤をともなった大型の異型細胞がみられ悪性リンパ腫が疑われたが,免疫染色にてリンパ球はmonoclonarityを示さず,異型細胞はケラチン陽性で,最終的に粘膜下腫瘍様形態を示したいわゆるリンパ球浸潤性髄様癌と診断した.また,EBER(EBV-encoded small RNA)-1 ISH(in situ hybridization)陽性でEpstein-Barr virus (EBV)関連胃癌であった.上記の診断のもと胃亜全摘術を施行したが,病変の遺残はなく,リンパ節転移もみられなかった.過去の報告によれば,リンパ球浸潤性髄様癌あるいはEBV関連胃癌の早期癌にはリンパ節転移はなく,局所切除のみで治癒できる可能性がある.
  • 土亀 直俊, 津野 田尚子, 満崎 克彦, 緒方 一朗, 浦田 譲治, 西東 龍一, 荒川 昭彦, 北島 美香, 高橋 睦正
    1999 年 41 巻 12 号 p. 2520-2525
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は53歳,女性.軽度の貧血の精査中に胃前庭部に径3.0cmの粘膜下腫瘍を指摘された.EUSでは第2-3層を中心とした低エコーで辺縁に結節状陰影を伴っていた.経過観察を指示するも患者は来院せず,9カ月後心配になり来院した.このとき腫瘍は径6.0cmと増大していたので,手術を勧めたが家人(夫)の強い反対で以後来院しなくなった.初診から13カ月後,腹部腫瘤の増大があり,他院を受診した.CT,MRにて腫瘍は腹部全体を占める巨大な腫瘍としてみられ切除不能であった.開腹生検による病理学検査にてF-8,CD34染色にて陽性であり,angiosarcomaと診断された.本例の報告は稀であるが,EUS所見は特徴的であり,また粘膜下腫瘍の経過観察上示唆・教訓に富む症例であり報告した.
  • 河村 卓二, 郡靖 裕, 河端 秀明, 酒田 宗博, 上野 山義人, 長谷川 和範, 宮田 正年, 上田 モオセ, 塚田 圭子, 宇野 耕治 ...
    1999 年 41 巻 12 号 p. 2526-2532
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は75歳の男性で,1997年6月に黒色便を主訴に当院を受診し,緊急内視鏡検査にて胃・十二指腸に多発する潰瘍性病変からの出血が疑われて入院した.入院後,潰瘍性病変から頻回の出血がみられたが,エタノール局注療法・クリップ止血法を用いて対処した.病変は悪性リンパ腫と診断され,化学療法を施行したところ病変は縮小し,出血も認められなくなった.内視鏡的止血法は悪性リンパ腫からの出血に対しても有用であると考えられた.
  • 妹尾 重晴, 結城 豊彦, 佐藤 匡, 石田 一彦, 小林 剛, 木村 克巳, 松永 厚生, 野村 美樹子, 菊地 達也, 内海 潔, 伊藤 ...
    1999 年 41 巻 12 号 p. 2533-2541
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は68歳女性,70歳男性,76歳男性である.これら3例は上部消化管内視鏡検査でそれぞれ十二指腸下行脚上部,下行脚下部,球部に黄色調粘膜下腫瘍として病変が指摘された.2例に施行した超音波内視鏡検査では,十二指腸壁第3層に主座を置く高エコー腫瘤として描出された.内視鏡的切除を施行した.病変最大径はそれぞれ,10mm,17mm,22mmであった.十二指腸脂肪腫本邦報告例87例と合わせ,その特徴につき考察した.
  • 堀木 紀行, 丸山 正隆, 橋本 明美, 内山 めぐみ, 倉井 宏明, 増田 幹生, 藤田 善幸, 米倉 甫明, 大東 誠司
    1999 年 41 巻 12 号 p. 2542-2549
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例はPeutz-Jeghers症候群にて26年間経過観察されていた38歳,女性で,閉塞性黄疸を主訴に入院した.患者は黄疸出現の16カ月前に全消化管の2cm以上のポリープに対し外科的切除をされていた.黄疸出現時の上部内視鏡検査にて十二指腸下行脚に2型の進行癌がみられ膵頭十二指腸切除術を施行した.しかし,術後7カ月で多発性転移のため死亡した. 文献的にもPeutz-Jeghers症候群に伴う十二指腸悪性腫瘍の報告は25例以上あり,われわれの症例からも本症候群では定期的な十二指腸病変の検索が必要であることが示唆された.
  • 大野 健次, 清光 義則, 渡辺 博之, 古田 和雄, 袖本 幸男
    1999 年 41 巻 12 号 p. 2550-2554
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は70歳女性.1996年5月右乳癌手術.1997年8月より右下腹部痛が出現し,近医にて大腸癌と診断され9月8日入院した.注腸X線検査にて盲腸にApplecore様の狭窄所見を認めたが,腫瘤辺縁の立ち上がりはなだらかで粘膜下腫瘍様であった.内視鏡検査では,上行結腸に潰瘍による狭窄を認め,その肛門側では粘膜下腫瘍様に腫大した粘膜襞が狭窄部の潰瘍辺縁をこえて潰瘍を被うようにのびていた.狭窄部の潰瘍より生検し術前に乳癌の大腸転移と診断しえた.
  • 深瀬 和利, 松田 徹, 鈴木 康之, 鈴木 克典, 井上 隆, 青山 一郎, 堺 順一, 斎藤 博, 佐藤 信一郎
    1999 年 41 巻 12 号 p. 2555-2558
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     1978年7月から1996年4月まで山形県立中央病院において,384例,410病変の胃粘膜内癌に対し内視鏡的切除術(ER)を施行した.1990年8月から5点マーキング(5PM)後のERを始め,86例,89病変に施行した.マーキング施行例の完全切除率70.8%は,マーキングなしの41.7%に比較し高かった.本法は完全切除成績の向上に有用であるのみならず,切除標本上の方向性の把握や内視鏡的追加治療に際しても有用な方法である.
  • ―注入法の有用性―
    鈴木 雅貴, 小野寺 博義, 粂 潔, 高橋 功, 佐々木 明徳, 萱場 佳郎, 鵜飼 克明, 桑島 一郎, 本島 正, 大方 俊樹, 鈴木 ...
    1999 年 41 巻 12 号 p. 2559-2566
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     20MHz細径超音波プローブを使用した経乳頭的管腔内超音波検査法(IDUS)にわれわれが考案した注入法を応用し,胆管癌の肝側水平方向進展の診断を試みた.注入法はまず予め経皮経肝胆管ドレナージ術(PTBD)を施行しておき,その3日後に造影剤を使用せずに経乳頭的IDUSを施行,引き続きPTBDカテーテルより造影剤を注入した後再度IDUSを施行し,注入前後の内側低エコー層の厚さの変化率を測定するものである.変化率は炎症部60.7±8.8%,粘膜内進展部34.0±7.8%,壁内進展部21.7±8.0%,主腫瘍部0.0%と,炎症部,粘膜内進展部,壁内進展部,主腫瘍部の順で低下した.注入法では水平方向進展の有無だけでなく,経皮経肝的胆道鏡にても困難な粘膜内進展と壁内進展とをも鑑別できる可能性が示唆された.
  • 日本消化器内視鏡学会雑誌
    1999 年 41 巻 12 号 p. 2569-2571
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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