抄録
典型的なX線像を呈したMeckel憩室内翻症の1例を経験したので報告した.症例は41歳の男性.1997年4月検診にて貧血,便潜血陽性を指摘され近医を受診.貧血精査のため当科を紹介されて受診.入院時,腹部腫瘤触知せず.軽度の貧血と便潜血陽性所見を認めた.小腸X線検査で回盲弁の口側約70cmの回腸に7×2cmの指状の隆起を認めた.病変は軟らかく容易に形状が変化し,嚢状の病変と考えた.起始部にはKerckring皺襞を思わせる襞様の所見を認め,病変の先端部は粘膜の脱落を伴っていた.以上,特異な形状,病変部位より,内翻したMeckel憩室と診断し,回腸部分切除術を施行.病理組織学的には内翻した真性憩室であった.大部分は小腸粘膜に覆われ,先端の一部にUHIIの潰瘍と異所性胃粘膜を認め,Meckel憩室内翻症と診断した.